腕時計の防水機能は、日常生活において非常に重要な機能です。
水に強い時計は、水泳やシャワーを浴びる際に使用することができますが、防水機能のない時計は、水に浸けると内部に水が浸入して故障する恐れがあります。
防水性能は、数値を確認することで時計が水に強いかどうかを判断することができます。
また、防水性能は時計の価格にも影響します。
高価な時計は、より高度な防水技術を採用しており、深い水中でも使用できます。
腕時計の防水機能は、その時計を長持ちさせるためにも重要です。
防水機能がない時計
防水機能が備わっていないものを「非防水」といい、主にドレスウォッチが該当します。
特徴としては革ベルトを使用しており革と水分は相性が悪く、当然腕時計本体もそのようになっています。

雨や汗による湿気は要注意です。
アンティークを好む場合は防水性能が付いているモデルであっても、経年によりその機能を果たさない場合もあります。
防水機能がある時計
防水性の目安は”気圧防水”と表され以下のタイプに分けることができます。
- 3気圧防水
- 5気圧防水
- 10気圧防水
- 空気潜水用防水
- 飽和潜水時計
3気圧防水
3気圧防水は静止状態にある場合に水深30mまでの水圧に耐えることができる防水機能を備えた腕時計で第1種防水時計とも呼ばれ、価格帯を問わず様々な時計に用いられております。

3気圧防水は「WATER RESISTANT」または「W.R.」と表示され、日常生活防水であることから雨や水しぶき程度となります。
5気圧防水
5気圧防水をもつ腕時計は静止状態にある場合に水深50mまでの水圧に耐えることができる防水機能を備えた腕時計です。
第2種防水時計とも呼ばれ、食器洗いやお風呂掃除、さらには水仕事にも耐えうる防水性能を持ち合わせています。

5気圧防水であっても時計を浸水されることは、できません。
また、勢いよく出した蛇口やシャワーの水圧にも耐えることはできません。
10気圧防水
10気圧防水をもつ腕時計は日常生活強化防水もしくは第2種防水時計とも呼ばれる時計で、水仕事はもちろんのこと、水上スキー・ヨットといったマリンスポーツにも対応可能です。

海水につけた場合、真水で洗浄しないとパッキンが劣化したり、ケースやブレスレットが錆びたりするので注意が必要です。
お風呂や温泉での使用は、温度や成分から不具合に繋がるため、注意しましょう。
空気潜水用防水
空気潜水用防水は水深100m〜200mまでの水圧に耐えることができる防水機能で、第1種潜水時計(空気潜水用防水)と呼ばれ、空気ボンベを使用する潜水に対応しています。
表示されている水深までの耐圧性と長時間の水中使用に耐える防水性を備えており、潜水時間・減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルなどの装置を備えているのが特徴です。
浅海で潜水に使用されますが、飽和潜水用に使用することはできません。
潜水用防水をもつ時計はダイバーズウォッチと呼ばれ、スポーティーなデザインでありながら実用性の高さもあり、人気の高い防水腕時計となります。

10気圧防水と同様に、海水につけた場合は真水で洗浄しないとパッキンが劣化したり、ケースやブレスレットが錆びたりするので注意が必要です。
お風呂や温泉での使用も温度や成分から不具合に繋がるため、注意しましょう。
飽和潜水時計
防水機能を備えたモデルの中で最も高い防水性能を持つ腕時計が飽和潜水時計です。
水深200m〜1000m以上の防水性能を持つ時計は第2種潜水時計(飽和潜水用防水)と呼ばれ、深海へのダイビングにも耐えることからプロフェッショナル向けとなっています。
圧倒的な防水性能を有しているだけでなく、逆回転防止ベゼルやヘリウムエスケープバルブ等のダイビングで役立つ機能を併せ持つことが多いです。

10気圧防水と同様に、海水につけた場合は真水で洗浄しないとパッキンが劣化したり、ケースやブレスレットが錆びたりするので注意が必要です。
お風呂や温泉での使用も温度や成分から不具合に繋がるため、注意しましょう。
シーン別おすすめ防水機能付き腕時計
サウナに適した腕時計
アウトドアに適した腕時計
登山に適した腕時計
ダイバーズウォッチの定義
一般的な認識としては「ダイバーズウォッチ=防水性が高い」と思われている方が多いですが、これは場合によります。
ダイバーズウォッチは防水性が高いだけでは名乗ることはできず、潜水師にとっては重要なアイテムであるため、JIS(日本工業規格)・ISO(国際標準化機構規格)によって厳格な条件が定められています。
条件を満たしていない場合はダイバーズウォッチに認定されず、現代においてダイバーズウォッチと呼ばれている時計は非常に高いスペックでなければいけません。
基本定義
- 少なくとも100mの潜水に耐え、かつ、その1.25倍の水圧に耐える耐圧性を備えること
- 潜水時間を管理する機構を有すること
潜水時間を管理する機構は主に「逆回転防止ベゼル」となります。
それ以外では視認性や耐衝撃性、耐塩水性、耐磁性といった項目まで要求スペックが定められており、これらの要求を全て満たしたモデルだけがダイバーズウォッチの称号を受けることができます。
防水表記の違い(気圧とメールのお話)
腕時計の防水性能には「m(メートル)」と「気圧」の2種類の表記がありますが、イコールではありません。
気圧の場合は、水深10mにつき1気圧掛かるので、100m潜ると腕時計には10気圧が掛かるということになります。
防水と潜水の違い
腕時計の表記において防水は「気圧」、潜水は「m」という2つの表記で使用されます。
それゆえ、条件が異なりますが、要するに防水時計は潜水が不可能、潜水時計は潜水が可能です。
例えば、10気圧防水は「腕時計をゆっくり100m地点まで沈め、そのときにかかる10気圧の圧力に耐えられる」という意味をもちますが、これはあくまでも圧力に対する話であり100mまで潜ることは想定していませんので不可能です。

深さが1m程度しかない競泳用プールで10気圧防水機能を持つ時計が壊れることがありますが、これは泳ぐ際にバシャっと勢いよく時計を水にたたきつけた圧力が、10気圧以上の掛かってしまうことが原因であり、深さの問題ではないのです。
防水時計の注意点
高い防水性能の腕時計であっても、精密機械であることには変わりなく間違った取り扱いをした場合、故障に繋がります。
防水時計を過信しない
防水時計を故障させてしまう一番の要因は、防水性能を過信しすぎてしまうことです。
『100m防水だから時計を水洗いしてもいい』
『ダイバーのモデルだからプールに飛び込んでも問題ない』
一般的には上記のような考えだと思われますが、水時計だからといって基準値を超えなければ問題ないということではありません。
水圧が仕様を超えると水は入りますし、リューズをきちんと閉めていないと本来の防水機能は発揮することはできません。
水洗いの注意点
蛇口から勢いよく出る水圧は、100mまで潜った時の水圧より強いです。
「水洗いしただけなのに」と思っていても、時計の仕様を超える圧力をかけてしまったことで、機械内部に水が進入しガラス面が曇ることがあり、この場合は時計の修理が必要となります。
お風呂での注意点
お風呂での使用により時計を故障させてしまうケースも多いです。
これまで紹介してきた防水機能は、あくまで「水」に対してのことで、これは防水性能の基準が水だからです。
お湯の場合は、水の侵入を防ぐために内部にあるゴムパッキンが熱により変形してしまい故障の原因となります。
石鹸やシャンプーによる注意点
石鹸やシャンプーは防水時計の天敵です。
ゴムパッキンに洗剤などが付着すると化学変化がおきて、ゴムの弾力がなくなることがあります。
そうなると水が時計内部に侵入するきっかけとなってしまいます。
大切に取扱いましょう
一見、万全のような防水腕時計ですが良い状態で長持ちさせるためには、「時計内部に水分を侵入させないこと」がとにかく大事です。
そのためには時計を丁寧に扱うことが求められます。
防水腕時計のメンテナンス方法
防水腕時計のメンテナンスは、その性能を維持し、寿命を延ばすために非常に重要です。
以下に、汗や海水後の適切な洗浄方法と、防水機能を長持ちさせるためのメンテナンスのポイントを説明します。
汗や海水後の正しい洗浄方法
汗や海水は腕時計の素材に悪影響を及ぼす可能性があります。
汗は塩分と酸を含み、海水も塩分を大量に含むため、これらが時計の金属部分を腐食させる可能性があります。
したがって、これらがついたままにしておくと時計が痛む可能性があります。
洗浄方法は以下のとおりです。
- 防水腕時計はまず、ぬるま湯で軽く洗い流します。これにより、時計の表面についた汗や塩分を取り除くことができます。
- 次に、柔らかい布でやさしく拭きます。洗剤の使用は避け、必要な場合には中性洗剤を使用することをお勧めします。
- 最後に、時計を自然に乾かします。暖房器具やドライヤー等の熱を利用して乾燥させると、時計にダメージを与える可能性があるため避けてください。
防水機能を長持ちさせるためのメンテナンスのポイント
防水パッキンの交換
防水機能は主にケースのパッキン(ゴム製のシーリング)によって保たれます。
しかし、パッキンは経年劣化するため、定期的に交換する必要があります。
防水時計の場合、一般的には1~2年に一度のパッキン交換を推奨します。
適切な取扱い
時計の防水性能を維持するためには、正しい取扱いも重要です。
例えば、リューズやボタンは水中では操作しない、強い衝撃を避ける、などです。
定期的な点検
防水性能を確保するためには、定期的な点検が不可欠です。
専門の時計修理店での定期的なメンテナンスをお勧めします。
故障してしまった際は修理(オーバーホール)が必要
時計が持つ防水性能を超える負荷をかけた場合、時計が故障してしまう可能性は高いです。
設定したのに時間がズレる、ガラスがずっと曇っているといった不具合があれば、時計修理店においてオーバーホールを行う必要があります。
オーバーホールは時計を分解洗浄し、ゴムパッキンや歯車等の消耗品パーツの交換を行う作業で、その工程は非常に繊細で高度な技術が必要になります。
修理業者によっては非常に安価にオーバーホールをしてくれるところもありますが、防水性能に関しては手間が掛る作業であることからコストは必ず掛かります。
「安かろう悪かろう」の業者においてはテストが簡易的に行われてしまうことや、設備が整っておらず限られた作業となってしまうことから、修理後に再故障する可能性がグンと高まります。
安心して末永く腕時計を使用するためには、お店選びがとても重要なので一級時計技術士が在籍していることや、事前に見積もりを取る等、情報収集が後悔しない選択に繋がることでしょう。
まとめ
防水機能があるからといって、過信はせず生活スタイルに合った防水腕時計を選ぶことをオススメします。その際、防水機能の5つの内どれに該当するか確認してください。
また、最高の防水機能を有した時計であってもリューズが緩んでいては元も子もありませんので、使用する際は確認する習慣を身につけて故障リスクを避けるように心掛けましょう。
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